誠実な人間とは、その心が清潔で、曲ったことはせず、虚栄心とは無縁な人のこと。
そういう人は、ただ黙々と、純粋無垢な日々をおくり、希望にも心惑わされず、悲しみにも乱されはしない。
そういう人は、城壁や鎧で自分の身を守る必要もなく、青天から降ってくる禍を避けるため秘密の地下室を設ける必要もない。
そして、運・不運のもたらす苦悩を超然と直視し、天を仰いでそこに真意を読み敬虔な思いこそが知恵と考えるのだ。
さらにまた、善き思いをわが友とし、満ちたる老齢をわが身の財産と見なし、この地上の生を静かな旅の宿と見、自らをそこに宿る旅人と考えるのだ。
トマス・キャピオン書より